今から10年ほど前、日本を訪れる外国人観光客数は約835万人でした。
そして現在は約3,100万人強となりました。また、YouTubeやSNSの利用者の拡大と共に、今まであまり有名ではなかった観光地や日本人があまり行かなくなった観光地などにも多くの外国人が来られるようになりました。そのため、日本各地の観光案内サインなどに〝多言語〟や〝ピクトグラム〟を併記する整備が進められています。
ピクトグラムは、文字やことばに代わって一目で誰にでもわかるようにした絵文字・図記号です。ですから、日本語がわからない外国人にとって有効なサインとなります。
日本には、日本の国家標準の一つであるJIS(日本工業規格)で、規格化されたピクトグラムが140種類あります(2017年現在)。
出典:田中直人「建築・都市のユニバーサルデザイン」彰国社 / イラスト:オグラ ケイコ
日本には規格化されたピクトグラムが129種類ありますが、すべてを知っている人は少ないでしょう。今から10年前、ピクトグラムの認知度について調査しました。調査対象者は、小学生473人、20~50歳代210人、60歳以上の高齢者315人の、計998人です。
駅でよく見かけるピクトグラムの認知度の結果を見てみましょう。
下の写真に出ているピクトグラムの中で、3世代で80%以上の認知度があったのは「トイレ」と「エレベーター」です。「トイレ」は全種類で一番知られているピクトグラムでした。一方、案内サインであることを示すⓘマークは、あまり知られていませんでした。
ピクトグラムは外国人を含む観光客の強い味方になります。しかし、より多くの人が理解できる情報を提供するには、ピクトグラムの表示だけでは不十分のようです。万能ではないことを理解したサイン環境の整備が求められます。
出典:田中直人「世代別に見るピクトグラムの認知度の比較」