“ 焦っている時 ” も想定した見つけやすいサイン環境

オランダ・デルフト駅

外出先には多様な案内や誘導のサインが設置されており、その種類も様々です。また、現在地を確認するため立ち止まって見る自立型の案内サインや、行き先を確認するため、歩きながら見る天井吊り型の誘導サインなど、人がサインを見る状況も様々です。

「完璧なサイン環境」は「サインの無い環境」

目的地へと導く「誘導サイン」は、一定間隔で人が見つけやすい場所に設置されていることが重要となります。しかし建物内の場合、人が利用してはじめて、サインの必要な設置場所がわかることもあり、「完璧なサイン環境」の実現は難しいのが現実です。

「完璧なサイン環境」の極論は「サインの無い環境」といえます。特に駅など、移動が主目的となる施設の場合、誘導サインが無くてもスムーズに建物内の目的とする場所に行ける、単純明快な建物形態になっているのが理想です。

シンプルな建築形態のオランダ・デルフト駅

地下1階にある駐輪場や地上階にあるバスターミナル、そしてエレベーターやエスカレータが、ホームから上がってきてすぐの改札内から見えるような建物形態になっているオランダ・デルフト駅。エレベーターはシースルーになっているため、遠目からでも認識することができる。

“ 焦っている時 ” の情報量

近年、公共空間のユニバーサルデザイン化が進み、サインの表示方法においても、大きな文字で遠目からでも視認しやすく変化しています。また外国人への配慮として、日本語以外に英語表記はほとんどが必須となり、駅では更に中国語と韓国語が加わる4か国語表記が一般的となっています。

日本の サインによる “ 情報提供 ” は、他の国と比べて丁寧だと思います。もしも既存の誘導サインだけでは不十分な場合、例えば「トイレはあちら→」などのお手製サインが追加されます。しかしその結果「情報過多」となり、たくさんの情報の中から自分に必要な情報を見つけるのが難しくなります。はじめて利用する駅で急いで乗り換えが必要な焦っている場合、かえってたくさんの情報量がバリアになります。移動が主目的となる施設においては、「焦っている時」など様々な状況の想定も必要ではないでしょうか。

視認性の高いサイン表示がされているとうきょうスカイツリー駅

個々の情報の視認性は高いが、表示面の余白が少ないため情報量が多く見え、情報の優先順位がわかりにくくなっている。

色のメリット・デメリット

「色」は電車の路線の分類や、サインの誘目性(人目を引き付ける度合い)を高めるのに有効です。このように色自体が情報となります。そのため「色」を多用することは「情報」の多さにつながります。また日本の駅では、サインと併せてさまざまな広告も設置されており、多様な色であふれています。

例えば「サインにはあまり色を多用しない」や、「広告はサインより一定距離はなれた場所に設置する」などのルールをつくることで、視覚的な情報整理ができるかもしれません。

サインの色が統一されているヘルシンンキ空港駅のホーム

サインとサインが設置されている場所をブルーに統一することで、サインの誘目性を高めているヘルシンンキ空港駅のホーム。

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