ひとの外出時の “ 広さ ” の再考

デンマークのカストラップ空港

ひとは外出する際、小さくはスマホ、大きくはスーツケースなど、何かしらのモノを持参します。また歩行が困難な場合、乳幼児ならベビーカー、足腰の不自由な人なら杖や車いすを利用します。ひとが外出し、移動する際には「人+α」の広さが必要になります。

最近みかける “ エレベーター渋滞 ”

エスカレーターの設置がない中小規模の駅のエレベーター前では、車いす利用者、ベビーカー利用者、足腰の不自由な人、スーツケースやキャリーバッグを持参している人などが、順番待ちをしている場面を良くみかけるようになりました。

これまでの垂直動線のバリアフリー化は、車いす利用者の利用を中心に行われてきましたが、まちのバリアフリー化が進み、多様な状態・状況の人の外出機会が増えたことで、エレベーターを必要とする人も増えました。数や大きさが利用状況と合わなくなってきたことも、“ エレベーター渋滞 ” の要因のひとつといえます。

トイレブースの広さ

近年の公共トイレのブースは、空いている時は扉が開いている状態にしてあります。そのため扉はブースの内側に開きます。キャリーバッグ持参でブースに入ると、キャリーバッグを狭いブース内で移動させないと扉の開閉が出来ず、少し不便を感じます。大きなスーツケースを持った観光客の場合ならなおさらです。特にターミナル駅や空港などでは、「人+大きな荷物」を前提とした広さが必要です。

しかし超高齢社会を考えると、身近な施設でも「広さ」の検討が必要です。住宅地の近隣スーパーなど、お年寄りの数が増えています。お年寄りの中には手押し車(シルバーカー)を持参している人も少なくありません。「人+手押し車」でも利用しやすい広さのトイレブースも必要です。

自転車ごと運ぶ電車

車道と同じ様に自転車道や自転車版の高速道路が整備されているデンマークの公共空間では、「人+自転車」を前提として広さが配慮された場面が見受けられます。そのひとつが電車です。例えば通勤の際、自宅から駅まで自転車を利用し、駅前の駐輪場に自転車を止めてから電車に乗る…人がいると思います。デンマークの鉄道には、自転車ごと乗れる車両を有する電車があります。この車両には車いす利用者やベビーカー利用者も利用します。またコペンハーゲンの空港から中央駅の区間では、大きなスーツケースを持参した観光客も利用します。座席は跳ね上げ式のため、広さの融通も利きます。

多様な状態・状況の人がいることを知れば知るほど、外出時の様々な場面の “ 広さ ” について再考が必要かもしれません。

自転車ごと乗車できるデンマークの電車のボディサイン
自転車ごと乗車できるデンマークの電車の内部

自転車ごと乗車できるデンマークの電車

最後まで読んでいただきありがとうございます。